日本のエネルギー政策:課題と選択肢の分析【前編】

エネルギー政策
課題:
  • 今後、より一層のエネルギー消費が見込まれる中で、日本は東日本大震災以降原子力発電が活用できておらず、CO2排出の大きな火力発電に頼らざるを得ない状況。再生エネルギーはそれらを代替するほどの発電量、安定性を備えておらず、今後どの発電方法をどの程度組み合わていくか定められていない
  • また、経済の肝となる非常に重要な要素にも関わらずその資源のほとんどを輸入に頼っており、安全保障、価格変動リスクも大きな課題
対応:
  • エネルギー、特に重要度の高い電力供給において求められる要件と、個々の発電方法の特性を理解し、それらを組み合わせた発電ポートフォリオを定める必要がある
  • 求められる要件は、高出力、出力調整、安全性、環境性、経済性、安全保障などがあり、全てを満たす完璧な発電方法はない
ポイント:
  • 完璧な発電方法はない
  • 複数の特性を持つ発電方法を組み合わせて全体最適で実現する
  • 将来に向けては、メタンハイドレートや核融合といった、新たな発電方法は改善につながる

人間が生きるためには食べ物というエネルギーが必要です。そして社会が生きるためには電気、ガスなどのエネルギーが必要です。

昨今エネルギーというと、再生エネルギー、カーボンニュートラル、化石燃料からの脱却、SDGs・・・政治家も企業もこぞって環境面を最重要観点のように発信されています。また、電力自由化による新電力などからは再エネ100%を押し出した電力プランが提供されています。果たしてそれを選択することは、日本にとって、地球にとっていい選択となりうるのでしょうか?

環境面でクリーンなことはそれだけ見ればウケがいい。ただ、確かに環境は重要ですが、考慮が必要な観点の一面に過ぎません。日本という共同体のエネルギー全体をどう考えていくか、特に電気エネルギーは今後さらに消費量が増し、重要度が高くなる中で、課題を広い視野で把握し、個々の発電方式の特性を理解し、トータルとしての構成を考えることが重要です。

エネルギー受給の現状

非常に細かいですが、経産省がまとめた日本のエネルギーバランス・フロー概要(2022年度)になります。単位はPJ(ペタジュール)です・・・

日本のエネルギーバランス・フロー概要(2022年度), エネルギーに関する年次報告, 令和5年度, 経産省

P(ペタ)は、k(キロ)の1000倍のM(メガ)の1000倍のG(ギガ)の1000倍のT(テラ)の1000倍という非常に大きな補助単位になります。J(ジュール)はエネルギーの基本単位で、1Jは、1N(ニュートン)の力で1m(メートル)動かすだけのエネルギー量になります。またこちらの方が馴染みがあるかもしれませんが、4.2Jは1cal(カロリー)です。一方で、電力消費量などで使われるW(ワット)との関係では、J=W×s(秒)です。車などは最近出力表記が、PS(馬力)からkW(キロワット)表記になってきました。分かりにくいですが、これだけの関連表現があるということはエネルギーが非常に身近という表れです。

まずはトータルとして、1次エネルギー供給が18,314PJに対して、最終エネルギー消費が11,842PJということで、エネルギー転換(発電によるエネルギー種別の変換、分離精製)工程にて65%程度に低下(35%程度損失)しています。発電においては一般的に一番効率の良い火力発電でも40〜50%ですので、それに比べ効率は非常に高く見えます。これは、石油は、ガソリン、軽油などへの精製が含まれており、それら精製ロスはそれほど高くないためです。水色の発電だけの区分で見るとやはり効率は40%程度です。

エネルギー供給

供給側を見ると、ガス、石油、石炭がそれぞれ一定のボリュームで、原子力、水力+再エネがサポートする感じです。石油の多くはガソリンなどの燃料とプラスチックなどの石油製品でほとんど発電には使われていません。ガスは半分強が発電に、残りは都市ガスです。そして、石炭の7割が発電に、残りは製鉄などに使うコークスなどの石炭製品としての利用になります。石炭なんて時代遅れな、、、と思いきや、今でも石炭は重要なエネルギー源です。

そして、みんな大好き再エネは1,370PJで、全体18,314PJの7%程度です。これでもかなり大きなボリュームに成長していると言えます。

エネルギー消費

電力としての利用は、エネルギー消費11,842PJのうち、家庭で928PJ、企業で2,264PJ(再エネ足して2,300PJ)と日本のエネルギー消費全体の1/4程度を占めます。電力消費は家庭よりも企業(経済活動)での利用が2倍以上大きいです。

ガソリン・軽油などの燃料は、運輸旅客(人を運ぶ自動車、飛行機など)で1,611PJ、運輸貨物で1,186PJで、こちらもエネルギー消費の1/4程度を占めます

あとは、ガスが10%弱、石油石炭製品が33%程度を占めます。石油石炭製品は、エネルギーというよりはどちらかというと素材としての活用ですので若干性質が異なりますかね。

電気エネルギーの需要は今後増加する

こちらの記事で考察した通り、今後AI、ロボットの活用がより一層進むことが濃厚です。AI活用社会においては大量のデータ解析が必要となり、データセンター(DC)の電力消費量が大幅に増加します。どこまで利用が進むかは未知ではありますが、大きめの試算ではDCでの電力需要増は国内で4倍、世界で30倍程度になるとの見方があります。DCは必ずしも日本にある必要はありませんが、もし国政などへの活用で国家機密情報など重要データを扱う領域は自国立地DCで行うのが望ましいでしょう。ちなみに一人当たりの電力消費量の世界一はアイスランドですが、地熱発電により電気代が安くビットコインのマイニングなど(これもDCでの演算)に使われているということです。

また、ロボットにおいてもモーターなどでの制御は電気エネルギーとの相性が良く、電力消費量の増大につながるでしょう。

加えて、自動車のEV化も大きな流れです。日本自動車工業会の試算では、日本における乗用車を100%EV化した場合、10%強の電力使用量の増大に繋がるということです。もし貨物車も合わせてEV化されるとなると、先のエネルギーフローの比率で見ると輸送全体で15〜20%の押し上げになるでしょう。

以下では、重要度が増す電気エネルギーに関して、深掘りします。

求められる要件

出力調整

電気の取り扱いの1番の難しさは貯蔵ができないことです。バッテリーがあるじゃないか、EVカーは災害時にも便利だ、という意見がありそうですが、普段社会で利用している総電力量に比べたらそれらの蓄積可能量はほぼゼロに等しい容量です。

現状で唯一、社会でのエネルギースケールで可逆的に蓄積する方法としては揚水発電になります。これ水力発電所の亜種で、エネルギーが一時的に余った時にポンプを回して高所に水を汲み上げます。そして、電気が必要になった時に、水を低い所に流し、タービンを回して発電する方法になります。ただ、電気から位置エネルギーに変換し再度電気に戻すということでロスはそれなりに、後述の日々の出力調整に使えるほど柔軟性は高くないです。今後のエネルギー革命は、発電自体よりも、この大容量で、容易に出し入れできる貯蔵技術ができると色々と解決策が変わるでしょう。

で、貯蔵できないとなると何が困るか、、、需要に合わせて必要な電力量をリアルタイムに発電する必要があるということです。特に人間の社会では、多くの人が昼間に活動して夜は寝ます。昼の需要が大きく、夜の需要は少ないです。また、夏や冬は空調での消費量が大きくなり、特に酷暑日などは大幅に増加します。そうした電力需要が、天候の影響を受けつつ1日のサイクルの中で、平日休日の週のサイクル中で、年間四季の中で、場所によってはイベントの有無などの影響を受け変動し、その変動に合わせた供給が必要になります。ちなみに需要過多だけでなく、供給過多のケースでも周波数が乱れ大規模停電につながるということです。せめて多すぎのケースだけでも許容できる仕組みができると供給コントロールが楽になるんでしょうけどね。

地域内でのエネルギー需給を考えた際には、この出力調整可能な発電源を組み合わせて供給をコントロールする必要があります。

能動的な発電

電気がないと産業が止まります。電気は経済の生命線であり、安定的な提供が必要です。

そのためには必要な時に必要なだけエネルギーを取り出せることが重要です。当然と言えば当然ですが、昨今のみんな大好きの再エネではここも苦手な発電方法が多いです。太陽光発電は夜間は発電できません。昼間帯においても晴天と曇天では発電量が異なり、青天でも雪が1cm積もっていると発電量は大幅低下です。風力発電も風が吹かなければ発電できません。先にファクトを見た通りエネルギーは家庭だけでなく、企業活動にも大きく影響する重要インフラであり、日本全体で安定的な供給を実現するためには、需要に応じていつでも発電・制御可能な発電方式を保有する必要があります。

環境

地球温暖化は50年前から言われています。その温暖化には、温室効果ガスの影響が少なくなく燃焼を伴う発電で排出されるCO2もその原因の1つです。大気中のCO2をいかに減らしていくかは大きな課題であり、物を酸化させ化学反応を起こす「燃焼」自体を減らしていく必要があります。

日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を全体で実質ゼロにしようという目標を立てています。新たな植林などによるCO2吸収量と合わせてネットでゼロを目指すためには、燃焼を伴わない電源を組み込む必要があります。

環境という範囲では、CO2だけが問題ではありません。環境破壊や生態系にも目を向ける必要があります。地球で常に流れている風を風力発電で利用し弱めることや、潮汐力発電で潮汐を弱めることの影響などはまだ分かっていない部分が多いのも実状です。偏西風の蛇行、間伐、豪雨など自然災害の極度化は温暖化からのみとは限りません。地熱をとったらどうなるかもですね。そうした影響にも目も向けておく必要があります。

安全

2011年の東日本大地震では、福島第一原子力発電所でメルトダウンがありました。原子力(核分裂)においては一度反応量が臨界点を超えると制御不能(臨界事故)となり、発生する熱で反応炉がメルトダウン、放射性物質が構造体の外まで拡散すると影響は甚大です。放射能は、遺伝子異常による発ガン性、奇形といった影響が長期にわたる点が厄介です。一方で、短期、直接的な死亡原因につながるケースは少なく福島第一の事故においても死者は0人です。

この点、水力発電所などでは山間部の危険作業で、黒部第四ダムの建設工事では180余人の死者が出ています。火力発電所では大気汚染があり、ほか公害と分離できないですがNOx、SOxによる間接的な死者は相当数いるともいます。

安全、健康被害への影響という部分においては範囲をどう取るかで評価はかわります。

エネルギー安全保障

過去に日本は、石油の輸入を停止されたことを直接的なきっかけとして太平洋戦争の開戦を決断しました。オイルショックではトイレットペーパーがなくなったエピソードばかりが挙げられますが、営業時間の自粛、夜間照明の節約など、経済面、生活面の制限が数ヶ月に渡りました。最近また、各所で戦争が起こり、各国が自国優先の方向に舵を取りがちな中で、エネルギーの自給にも目を向けておく必要があります。

石油備蓄は240日分、LNG、石炭は備蓄制度はなし、それぞれの平均在庫は14日分、30日分程度です。石油を燃料とした発電はほとんどないため、発電用燃料としては100%リスクにさらされた状態とも言えます。

また、安全保障の観点としては、輸入元の分散を考える必要があります。これは当事者2国間の関係対応もありますが、輸送経路の分断も意識する必要があります。昨今、紅海においてイエメンのフーシ派の海賊行為で紅海・スエズ運河の経路が絶たれています。東南アジアにおいても軍事クーデターなど情勢不安国家も多く、同様のことが起こらないとも限りません。

エコノミー(経済性)

という、上述の範囲での調整でも大変ですが結局価格も重要です。世界的な紛争による石油価格の高騰、円安により、2024.7現在発電コストは大幅に上昇しています。政府により補助が入っているため分かりにくいですが、2021年に比べて30%程度上昇しています。安定的な価格に対しても考慮が必要です。

発電方法にはどのようなものがあるか?

という要件を満たすにあたり、選択肢としての発電方法にはどんなものがあるかを見ていきます。先の要件の充足と合わせて一覧を示します。といいつつ、発電方法はそこそこありますので、再エネかどうかで2表に分けます。要件を満たしている項目を青バック、満たしていない項目をオレンジバックとしています。

まずは、再エネでない現在の支配的な発電方法からです。火力のメタンハイドレート(メタンH)、原子力の核融合は、いま現在は実現していませんが、将来の可能性として比較のために入れています。

各種情報を元に当ブログにて作成

再生エネルギーです。水力発電はこなれた発電方法ですが、自然環境をエネルギー源としているので再エネに分類しています。

各種情報を元に当ブログにて作成

これを俯瞰してみていただければ自明ですが、それぞれの発電方法には、青の面とオレンジの面があり、どれか一つの方式が万能でそれだけで日本の全てのエネルギーを賄えるという形になりません。これらを組み合わせたトータルでのソリューションとして、先のすべての要件にOK、及第点といえる方向を目指すことになります。それぞれをより詳細にみていきます。

火力発電

火力発電は燃料の違いはありますが、いずれも化石燃料を燃やして熱エネルギーを得て、水を沸かし、蒸気の力で蒸気タービンを回転させて電気を起こします。 その燃料は、石油、LNG(液化天然ガス)、石炭でさらに分類でき、それらの中で比較的 × が少ないのはLNGです。

LNGは発電総量が大きい中で時間単位の出力調整が可能で、高出力なので少ない発電所数でコントロールできます。出力調整という観点では、太陽光もルーバーなどで遮蔽することで可能ですが小規模発電所ばかりで連携が困難です。また、それぞれの小規模発電事業者は自身の電気販売のみが興味範囲で全体の受給バランスを考える公共性は期待できません。現状地域での調整弁は大手電力会社の中で特に火力発電が担っています。(本来であればこの調整にかかるコストはエネルギー事業者全体で負担すべきで、現行仕様の課題といえます。)

また、最大の欠点はCO2排出が伴うことですが、石炭に比べたら排出量は半分程度でまだマシともいえます。また、LNGは液化天然ガス(Liquefied Natural Gas)ですが、液化状態を維持するのに-162°Cの低音が必要があり、状態として不安定、保存しにくいのがネックです。

ただ、他に一定の出力量の中で調整ができる電源はこれ以外になく組み込み必須といえます。また、輸入元がオーストラリア、マレーシア、ロシアということで比較的近めで、石油の輸入元である中東と分散できる点でも有意義といえます。

原子力発電(核分裂)

みんな大嫌いな原子力(核分裂)です。ただ、少量の燃料で、再処理することでほぼ自給可能、輸入に頼らずにエネルギー源を確保できる点は安全保障の観点で有意義です。CO2排出のないクリーンで、高出力な特性を合わせてベース電源として活用するのがベストといえます。フランスでは全体の80%を原子力発電としていますが選択理由は上記の観点でしょう。

今後、消費が増加するデータセンターで緊急でない演算やEVの充電などは人が休む夜間に行うことで、昼夜の消費電力の差を少なくすることが可能で、ベースロードの割合を大きくとれる可能性が高いかと思います。その点で高出力のベース電源は割合を高めるでしょう。

安全性、放射性廃棄物の課題があることは事実ですが、環境面、高出力、経済性、安全保障を鑑みた際には現実的に使わざるをえない手段といえます。発電コストも安く、原発が30〜40%で稼働していれば円安、原油高の影響も抑えられていたはずで、必要な対策は取りつつ、今現在停止している原発の再稼働は積極的に進めるべきです。10年の停止で技術者の高齢化しており、早めに再稼働を急がないと技術者がいなくなってしまうリスクもあります。

再生可能エネルギー

水力発電

水力は歴史ある方法ですが広い意味で再生可能エネルギーで、建設においては環境破壊はあるもののCO2も出さず、今後もなかなか使えそうな電源と言えます。ただ、降水量と地形でポテンシャルが決まってしまうという点、治水と合わせて進めてきた経緯もあるので、積極的に新設を検討する方法とは言えないかと思います。

ただ、揚水によるエネルギー貯蓄は今後も必要な仕組みとして、調整弁としての揚水発電にバージョンアップ可能なのかは検討してもいいのかも知れません。

太陽光発電

太陽光発電ですが、絶対的に発電電力量が足りません。また、自然エネルギーですので、発電量のコントロールができないのが致命的です。太陽光だけにした場合、雨の日は工場はお休みになります、夜は発電できないので真っ暗です。発電量が不安定なため、結局は調整弁は火力発電所に頼らざるをえなくなる点でなかなか中軸に添える電源にはならないです。今後大容量の蓄電手段などが確立された際にはこの欠点は解消できる可能性があります。まずそちらの開発が先に必要です。

家庭で自給自足用途で利用するのにはいいのではないでしょうか?私も災害時用に折り畳みのを1つ持っています。携帯くらいは充電できます。240Wh程度のバッテリーも持っています。ちなみに熱源としての防災備蓄はガスコンロにしています。エネルギー保存はガスボンベの方が断然容易でこの部分を見ても電気の取り扱いの難しさが見て取れます。

地熱発電

環太平洋造山帯に立地する日本には多くの熱源があります。太陽光や風力に比べても比較的安定で、造山帯のせいで地震などの不利益を受けているので、有利な点も積極的に活用していく姿勢は必要かとも思います。

日本は世界で3番目に大きな地熱資源量を持っていますが、それでもそれほど埋蔵熱量は大きくない、1000m程度までの掘削が必要で効率的な探索手法がまだ確立できておらず、一定の電力を賄うまでには至らない感じです。という課題がありますが、使いやすいエネルギー源ですので、今後の技術革新次第でしょうか。

潮汐力発電

潮の満ち引きでプロペラを回して発電する方法です。満ち引き自体は毎日あり、空気に比べ水は粘性が高いので効率的に発電可能です。沖合に風力発電を作るのであれば、潮汐力発電の方が有効な気がします。また、日本は海洋に囲まれた国で支配水域も大きく、そうした特性を活用する方法としても有効かと思います。あとは、水中なので、風車に比べて景観を損なわない点はメリットと言えます。

満ち引きは月が存在していれば発生するのでサステナブルと言えます。潮の流れを弱める可能性とその影響は確認が必要な点です。

バイオマス発電

名前はかっこいいですが、要は木を燃やした熱源でタービンを回して電気を起こすという仕組みです。日本は森林資源は豊富ですが、有効活用できているとは言えず、木材をチップ、ペレットにして、熱源に使うというのは1つの手段です。木を切ることは悪いことという先入観がありますが必ずしもそうではありません。木は一定の樹齢になるとCO2吸収量が大幅に低下するため、一定の樹齢の木を切って若い木に植えかえる森林循環は積極的に進める必要があります。

ついでに、、、林業は課題のマトリョーシカと呼ばれており、日本には相当な森林資源があるのに、住宅用、家具用材、製紙原料など大きな部分を輸入に頼っている現状があります。これはまた重症ですので別の機会に。

木屑を固めたペレットを燃料とするペレットストーブなど、使える方は是非使って市場を拡大してください。燃料は是非国産ペレットを。

未来の発電方法

全て説明はしていませんが、再エネを含めた既存の発電方法は、どれも一長一短であり、弱点がないものはありません。そんな中で、やはり中核は、火力発電(LNG)、原子力発電(核分裂)とせざるを得ない状況ですが、それらの弱点を克服/低減する資源活用/発電方法があります。

エネルギー政策としては、こうした部分の実用化に向けて研究開発を進めるといった判断も必要です。

メタンハイドレート

火力発電(LNG)で、燃料を輸入に頼らざるを得ないガスを自給可能な資源に置き換える派生系です。

LNG=液化天然ガスは-162°Cの低温と言いましたが、深海には低温と高圧の条件下にて自然にメタン(LNGの主成分)が個体/液体になっているメタンハイドレートという資源があります。日本は海溝に囲まれており、このメタンハイドレートが地球の中でトップクラスの資源量で存在しています。その蓄積量は今の日本の年間消費量換算で100年以上とも言われています。

このメタンハイドレートを掘削し、成分分離しメタンを取り出せれば、既存のガス火力発電所にて発電可能です。LNG発電モデルの燃料を輸入に頼らない版として有効ですが経済面が課題です。

原子力(核融合)発電

夢のオプションとして。今までわざわざ原子力に核分裂と補足記載していたのは、これを取り上げるためでした。原子力(核分裂)と同じと捉えられがちですが特性は全然異なります。文字としても分裂と融合で逆ですからね。

詳細は別記事にするとして、核分裂に対して大きなメリットが2つあります。1点目は安全ということ、核反応自体が負の安定で臨界事故のような制御不能な状態に陥りません。反応状態が何らかの理由で崩れるとすぐに反応が停止します。また反応で放射性廃棄物を出しません。そして2点目は、資源が自給できる点です。核分裂の場合は、ごく少量ですが最初の燃料は輸入する必要がありましたが、核融合の燃料は重水素(デューテリウム)/三重水素(トリチウム)で、深海に存在し正真正銘自給可能です。そして、埋蔵量はほぼ無限で、実現できればエネルギー問題から完全に解放されます。

前編まとめ

エネルギー政策は、昨今では特に環境面が注目されがちですが、出力、安全、経済性、安全保障などの観点も重要でトータルソリューションで考える必要があります。それらにベストな電源はなく、複数の電源をポートフォリオ的に組み合わせて、ベストなバランスを追求することになります。

日本では、東日本大震災による福島第一原発のメルトダウンの影響で、原子力が全面停止、ほとんどを火力発電に頼る状況で、燃料は輸入100%、海外依存リスクとともに、円安の影響で価格高騰、財政悪化にもつながっています。海外に左右されずに安定的なエネルギー源を確保するためには原子力(核分裂)の再稼働が必要です。新エネルギー系の再エネは現状では安定電源としては力不足で、あくまでサポート、主軸はやはり火力、原子力とせざるを得ません。

この方向性(特に原発の再稼働)は、本ブログのみならず、現実路線で総合的な国益を考えた検討の多くが行き着く結論です。
それでも、特に東日本大震災の印象面から、原子力(核分裂)に対する否定意見は非常に大きいでしょう。これにはメディアのネガティブよりの報道姿勢の影響もあったかと思います。「専門家でないから細かいところは分からないけど嫌」とか「全体最適なんか知ったこっちゃない」みたいな意見は無責任であり、反対意見においてはこうした要件を満たす対案を求めたいですね。
そして、続けて懸念なのは、民主主義の意思決定は、適切かどうかではなく多数決で行われる点です。多数決は適切な道を導くのか???この点もいずれテーマにしたいところです。

そして、それだけだと面白くないのでさらなる発展系として、、、以下の推進を提案します。

火力はCO2排出&燃料輸入依存による安全保障に課題があります。CO2排出はどうしようもないですが、燃料としてメタンハイドレートを利用することで輸入依存度は下げられます。原子力(核分裂)は安全性が課題です、非常に難易度が高いですが核融合が実現できれば、安全で自給可能な無限のエネルギーが獲得可能です。

これら、特に核融合発電の実現は、石油、天然ガス中心の燃料資源・エネルギー産業のゲームチェンジにも繋がります。技術立国の日本です、これらの実現は再び長期視点での最先端国家返り咲きも目指せます。そうしたグローバルの中でのポジショニングも意識した中で、エネルギー政策、投資、方向性を定められると明るい未来に繋がります。

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思いのほか長くなったので前編と後編で分けようと思います。

前編では現状のエネルギー需給と考慮が必要な要件、それに対し取りうる発電方式の対応を整理してきました。後編では、これらと関連する技術イノベーションを考慮し、理想の電源ポートフォリオを考察したいと思います。また、電源ポートフォリオを意識したエネルギー政策を進めるにあたっては、現状の電力自由化制度が課題です。その点に関しても課題提起したいと考えています。

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